iDeCoの改正まとめ|2026年12月から掛金の上限が月6.2万円に、受け取りは「5年ルール」が「10年ルール」に

iDeCoの改正まとめ|2026年12月から掛金の上限が月6.2万円に、受け取りは「5年ルール」が「10年ルール」に

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金の上限が、2026年12月の掛金(2027年1月の引き落とし)から上がります。いちばん大きく変わるのは企業年金がない会社員で、月2.3万円から月6.2万円になります。あわせて、70歳になるまで掛金を出せるようにもなります。

一方で、受け取るときのルールは厳しくなりました。iDeCoの一時金を先に受け取ってから会社の退職金を受け取る場合、控除が重ならないために空ける期間が、5年から10年に延びています(2026年1月1日以後に受け取る一時金から)。

上限が上がっても、掛金は自動では増えません。増やしたい人は自分で手続きが必要です。この記事では、だれがいくらまで出せるようになるか、増やすと税金がいくら減るか、手続きと控除がつく年、受け取るときのルールをまとめます。

内容は2026年10月5日に厚生労働省・国税庁の資料と、iDeCoを扱う金融機関のページで確認したものです。

2026年12月から変わる上限

加入している人いま(月額)2026年12月の掛金から(月額)
会社員・公務員(企業年金なし)2.3万円6.2万円
会社員・公務員(企業年金あり)2.0万円企業年金と合わせて6.2万円
自営業・フリーランスなど(国民年金の第1号被保険者)6.8万円(国民年金基金などと合わせて)7.5万円(国民年金基金などと合わせて)
専業主婦・主夫(第3号被保険者)2.3万円2.3万円(変わらない)

参考:厚生労働省「iDeCoがパワーアップします!」、厚生労働省「iDeCoの加入者、加入ご検討中の皆さまへ」

企業年金がある会社員は「6.2万円 − 会社の分」

企業年金(企業型DC・確定給付企業年金(DB)など)がある会社員は、会社の掛金などと合わせて6.2万円が上限です。iDeCoに出せるのは、6.2万円から次のものを引いた残りです。

  • 企業型DCの会社の掛金(事業主掛金)
  • DBなどの「他制度掛金相当額」(公務員は共済の掛金相当額で、月8,000円)

企業型DCの掛金は、企業型DCの加入者サイトで確かめられます。DBの他制度掛金相当額は、勤め先に確かめます。会社の掛金が少ない人ほど、iDeCoに出せる額が大きく増えます。

70歳になるまで掛金を出せる

いまは国民年金の被保険者であることが条件で、会社員は65歳まで、自営業などは60歳まで(国民年金に任意加入していれば65歳まで)です。2026年12月からは、条件を満たせば70歳になるまで掛金を出せます。60歳以上で会社員でない人は、iDeCoをすでに使っている人などで、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていないことが条件です(2029年11月末までは、この条件に当たらない人も新しく加入できます)。

増やすと税金はいくら減る?

iDeCoの掛金は全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になり、所得税と住民税が減ります。企業年金がない会社員が、月2.3万円から上限の6.2万円に増やすと、控除は年46.8万円増えます。

所得税の税率年46.8万円増やしたときに減る税金(所得税+住民税10%)
5%約7.1万円
10%約9.5万円
20%約14.2万円

※所得税は復興特別所得税(税率×1.021)を含めて計算した目安です。実際に減る額は、収入やほかの控除で変わります。

控除がつくのは「引き落とされた年」

iDeCoの掛金の控除は、その年の1月から12月に引き落とされた掛金につきます。12月の掛金は翌年1月に引き落とされるので、増やした12月の掛金の控除は2027年分です(自分の口座から引き落とす「個人払込」の場合)。

つまり、上限が上がっても、2026年の税金や、2026年のふるさと納税の上限には関係しません。年末調整や確定申告で書く掛金の額は、国民年金基金連合会から届く払込証明書の額です。

iDeCoをやると、ふるさと納税の上限は下がる

iDeCoの掛金は全額が所得から引かれるので、iDeCoをやっている年は、そのぶんふるさと納税の上限が下がります。掛金を増やせば、上限はさらに下がります(12月の掛金から増やした人は2027年から)。上限の計算式(ふるさと納税の上限額の出し方)で計算すると、年46.8万円増やしたとき、上限は所得税10%の人で約1.2万円、20%の人で約1.3万円下がります。2027年以降に寄附するときは、iDeCoの掛金を入れてシミュレーションし直してください。

関連記事ふるさと納税の上限額の出し方|今年の上限を決めるものと、確定申告を選ぶメリットふるさと納税で2,000円を除いて全額控除される上限額は、寄附した年の収入と控除で計算した住民税所得割額で決まります。上限の計算式と例、上限が変わる扶養控除・iDeCoなど、今年の上限の出し方、ワンストップ特例と確定申告の違い、確定申告のメリット(年間の証明書で手続きが楽、5団体の制限なし、所得税の分が早く戻る)を、毎年確定申告で控除を受けている1級FPがまとめました。

掛金を増やす手続き

年1回の制限には数えない

iDeCoの掛金の変更は、ふだんは年1回までです。ただし、2026年12月1日から2027年11月30日までに、改正前の上限より多い額に初めて引き上げるときは、この年1回に数えない例外になります。今年すでに掛金を変えた人も、上限の引き上げに合わせて増やせます。

手続きの方法

  • e-iDeCo(オンライン):2026年12月1日から受け付けます。2026年12月の掛金から増やすなら、12月1日〜24日に手続きします。初めて使うときはアカウントの登録が必要で、マイナンバーカードが必要です。12月上旬は登録が混みそうだと案内している金融機関もあります
  • 書面(掛金額変更届):12月1日から新しい書式で受け付ける金融機関があります
  • 事前受付:金融機関によっては、10月末ごろまで専用の書式で事前に受け付けています。12月の掛金から確実に増やしたい人は、自分のiDeCoの金融機関の案内を確かめてください

手続きの内容によっては、12月の掛金に間に合わないことがあります。e-iDeCoが使えるかどうかも金融機関で違うので、早めに自分の金融機関のページを見ておくと安心です。

参考:りそな銀行「iDeCoの2026年12月法改正」、ゆうちょ銀行「2026年12月のiDeCo制度改正および拠出限度額の引き上げ手続きのご案内」

受け取るときのルール:「5年ルール」は「10年ルール」に

iDeCoを一時金で受け取ると、会社の退職金と同じ退職所得になり、退職所得控除が使えます。退職所得は、控除を引いた残りの2分の1だけに税金がかかるので、受け取るときも税金はかなり軽くなります。

ただし、iDeCoの一時金と会社の退職金を受け取る年が近いと、期間が重なる分だけ控除が減ります。どれだけ空ければ重ならないかは、受け取る順番で違います。

受け取る順番控除が減るとき控除が重ならないには
退職金が先 → iDeCoの一時金が後iDeCoを受け取る年の前年以前19年内に退職金を受け取っている20年空ける(いわゆる19年ルール。2022年4月より前は14年=15年ルール)
iDeCoの一時金が先 → 退職金が後退職金を受け取る年の前年以前9年内にiDeCoの一時金を受け取っている(2026年1月1日以後に受け取ったもの)10年空ける(以前は4年内=5年ルール)

これまでは「iDeCoを60歳で一時金で受け取り、5年後の65歳で会社の退職金を受け取る」と、両方で控除を満額使えました。2026年からは、10年空けないと控除が重なります。60歳でiDeCoを受け取るなら、退職金は70歳以降でないと満額になりません。定年が65歳の会社だと、この順番で両方を満額にするのは難しくなりました。

順番や間隔をずらせないときは、次のような方法もあります。

  • iDeCoを年金(分割)で受け取る:退職所得ではなく雑所得(公的年金等)になり、公的年金等控除の範囲なら税金は軽くなります。ただし、公的年金と合わせて控除を超えると課税され、国民健康保険料などに影響することもあります
  • 一時金と年金を組み合わせる:退職所得控除の残りの枠に収まる分だけ一時金で受け取り、残りを年金で受け取ります

参考:国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」、国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし 税制改正等の内容」、ニッセイ基礎研究所「確定拠出年金の一時金をいつ受け取るか」

増やす前に考えておくこと

  • 60歳まで引き出せない:iDeCoのお金は原則60歳まで引き出せません。増やした分は、生活費や近いうちに使うお金とは別に考えます
  • 受け取るときの税金:掛金を増やすほど、受け取る額も大きくなります。会社の退職金と受け取る時期が近いと、上の「10年ルール」「19年ルール」で控除が減り、思ったより税金がかかることがあります
  • 運用の結果で増減する:投資信託で運用すると、受け取る額が掛金の合計を下回ることもあります
  • NISAとの分け方:いつでも引き出せるNISAと、控除がつくけれど引き出せないiDeCoは、役割が違います。増やした分をNISAから回すのか、生活費の余りから出すのかは、手元のお金の余裕で決めます

1級FPとして思うこと

企業年金がない会社員にとって、上限が2.7倍になるのは大きな変化です。所得税10%の人でも、上限まで増やせば税金は年9万円以上減ります。所得控除がこれだけ大きく使える制度は、ほかにあまりありません。

ただ、掛金の上限を上げる一方で、受け取るときのルールは5年から10年に厳しくなりました。たくさん出させて、受け取るときにしっかり課税する方向に見えます。退職所得は2分の1にしか税金がかからないので、iDeCoはやらないよりやるほうがいいと思いますが、上限まで全力で出すのがいいかどうかは、人によります。

まず考えたいのは、会社の退職金とiDeCoを、どの順番で、何年空けて受け取れるかです。退職金が先なら20年、iDeCoが先なら10年。間隔が取れない人は、増やした分の控除が、受け取るときの税金で一部戻されることになります。

また、iDeCoは60歳まで引き出せないので、教育費や住宅の頭金など、60歳より前に使うお金がある人は、NISAに残しておくほうが動きやすいです。「60歳まで使わないと決められる額」までにとどめるのが、いちばん失敗が少ない増やし方です。

最後に、控除が増えるとふるさと納税の上限は下がります。2027年からは毎年、iDeCoの掛金を決めてからふるさと納税の寄附額を決める順番にすると、上限を超えにくくなります。

※制度の内容は2026年10月5日時点の厚生労働省・国税庁の資料と、各金融機関のページの内容です。手続きの期間や方法は、加入しているiDeCoの金融機関(運営管理機関)によって違います。税金の額は目安です。